吐かない過食症もある?摂食障害の種類「拒食症・過食症・過食性障害(むちゃ食い障害)」

病気

吐かないけど食べるのが止まらない、食事のことで頭が支配されている、過食のせいで体重変動が大きい。こんな悩みを抱えていませんか?

食事にまつわるこんな悩みをかかえているあなたは、もしかすると「摂食障害」かもしれません。

摂食障害って、食べすぎることもあるの?
「拒食症」は聞いたことがあるけど、自分の症状って摂食障害なのかな。

摂食障害といえば、食事を制限する「拒食症」が有名ですが、他にも種類があります。
この記事では、「拒食症」を含めた摂食障害の3種類について解説していきます。

拒食症

拒食症とは、カロリーの低い食品を摂取するなどの食事制限を行い、極端に瘦せてしまう病気です。体重は、標準体重の85%以下・成長期の体重増加がないのが目安ですね。

拒食症には次のような特徴があります。

拒食症の特徴
  • 低体重
  • 痩せ願望や肥満に対する恐怖心がある
  • 正しい体型を把握できない(痩せていても太っていると思い込む)
  • 食行動の異常(太りやすい食品を避ける、絶食、食事回数の減少、食欲不振)
  • 過活動(痩せているにもかかわらず活発に動く、運動で体重を減らそうとする)
  • 無月経が続く・初潮がこない

このように、低体重以外に、体重や自分の体型、食事など痩せることにこだわるという特徴があります。思春期に発症しやすく、発症の原因ははっきりとわかっていませんが、環境の変化などによるストレスが関わっていると言われています。

拒食症が続く方もいますが、何かのきっかけで食事をとるようになることが多いです。
この場合、普通の食事に戻るのではなく、今までの飢餓状態の反動で量に食べ続け、過食症や過食性障害(むちゃ食い障害)に移行していきます。

過食症

過食症とは、一定時間内(短時間)に明らかに多い量の食べ物を食べ続け、自己誘発嘔吐や下剤の使用により体重増加が増加しないようにしようとする病気のことです。この時、食欲のコントロールができないという感覚があります。

拒食症と同じく過食症も摂食障害の一つです。拒食症とは真反対で「食べ過ぎる」という特徴がありますが、これも含まれます。なぜなら摂食障害の軸は「食事が普通に取れない感覚(食べ過ぎも食べなさすぎも)」と「体重増加に対する不安」だからです。

過食症の特徴をまとめると、次のような特徴があります。

過食症の特徴
  • 過食(むちゃ食い)をしてしまう
  • 食欲のコントロールができない感覚がある
  • 過食後に自己誘発嘔吐(過食嘔吐)、下剤の利用、絶食など体重増加を防ぐ代償行為をする
  • 肥満に対する恐怖心がある
  • 嘔吐の影響で、手に吐きだこがあったり、歯がとけてボロボロになっていることがある

過食症の特徴をいくつかあげましたが、食行動以外は拒食症と似ている部分があります。

拒食症から移行した人のように、今まで食べられなかった普通の量を食べると「過食」したなあと感じるかもしれません。食べ過ぎた自分が不安になり、過食嘔吐を繰り返し過食症になるという流れですね。

拒食症の人は、自分の体型について認知のゆがみがあるといいますが、意外と分かっている人が多い気がします。拒食症の時期は自分の意思が体型に反映されているので自分としては満足している(充実している)のですが、この移行期間からの過食症になると自分でも「病院にいかないと」となるわけです。

周りからさんざん「病院に行け」と言われてやっと行くのですが、体型がある程度戻っている状態で病院へ行くと、医者に「ただの食べすぎ」と言われてしまうパターンもきにしもあらずず。家族からも安心されるため治ったと勘違いされ、家族からも「食べ過ぎは我慢すればいい」「食べ過ぎるな」と拒食症の時と真反対のことを言われ、誰からも理解されない状態に….。ちなみに、これは自分の経験談です。

このように、過食症は食べて吐いて痩せを維持しようと、体重増加を防ごうとする病気です。これを聞いて疑問に思いませんか?

そういえば、過食症の人って「食べて吐く」イメージだけど、吐く(嘔吐する)ってそんな簡単にできるの。私は過食症っぽいけど、吐くことはないな。

おかしいと疑問に思う点はおそらく、過食症になれば嘔吐ができるのかというところでしょう。

人間は普通にしていれば食べ物を吐くことはないですよね。
過食症になれば、自由自在に食べ物を過食嘔吐することができるのでしょうか。
過食嘔吐がなければ過食症ではないのでしょうか。

嘔吐ができない人がいるし、
嘔吐ができないから過食症じゃないということはないよ。

答えは、Noです。
大部分の人が、吐く方法をネットやSNSなどで調べ過食嘔吐を始めます。ただし、やり方を学んでも体質や体の構造上、過食嘔吐をできない人が一定数います。

この人たちは、過食症になっても過食嘔吐をすることができません。この過食嘔吐がない過食症を「過食性障害(むちゃ食い障害)」と言います。「過食性障害」については次に詳しく紹介しています。

過食性障害(むちゃ食い障害)

過食性障害とは、過食症のように大量の食べ物を食べますが、過食嘔吐などの代償行為を行いません。そのため、過食症の人よりも周りから気づかれやすいですが、病気と思われにくい悲しい過食症です。

親に「食べ過ぎるな」って言われた。
せっかく落とした体重ももとに戻ったし、もっと太っちゃった。
自分も吐けたらいいのに….。

過食性障害を患っている人は、こんな思いをかけている可能性が高いです。
一見すると、ただ食べ過ぎているだけなので、体重増加も伴うと周りからのあたりもきつくなってきます。自分では食欲のコントロールができず、苦しんでいるにも関わらずです。

過食性障害の特徴は言わずもがな、過食と体重増加です。
過食性障害はあまり知られていないため、病院の医者もなかなか診断してくれません。医者もただのストレスによる過食なのか過食性障害なのか判断をしにくいのでしょう。

ただし、摂食障害の一つとして、過食性障害(むちゃ食い障害)は存在しています。
もし、これを見ているあなたがはかない過食で苦しんでいるのであれば、摂食障害について詳しい信頼できる病院にするのがベストです。

私は、過食性障害が拒食症や過食症よりも精神衛生上よくないと思っています。その理由は、過食性障害が唯一、自分の体型を自分の思い通りにできていない摂食障害だからです。拒食症から移行した人ならなおさら、自分では止められない体重増加で心を病んでしまう前に適切な治療を受けましょう。

まとめ

摂食障害には、食事を制限し体重が減少する「拒食症」、食欲がコントールできず大量の食事をとり過食嘔吐を行う「過食症」、過食嘔吐を行わない(吐かない)「過食性障害」という種類があります。

吐かない過食症である「過食性障害」は、なかなか理解されにく病気ですが摂食障害の一つです。この記事を読んで、「過食性障害」の理解が広がることを願います。